あなたの目標達成が失敗する理由
将来の目標・計画を立てても中々上手くいかない、途中で頓挫してしまう。
ダイエットや貯金、試験勉強など私たちに身近なものから、ビジネスまで様々な目標を立てては、失敗に終わる。
この目標・計画が頓挫する理由を行動経済学 の考えに沿って解説します。
動画のほうが分かりやす!という方のために行動経済学アニメも用意していますので、そんな方はこちらをどうぞ。基本的にこの記事と同じ内容ですが、視覚的なので理解のお役に立てます。
時間が価値に影響する、という考え
今すぐもらえる100万円と、1年後にもらえる100万円。あなたはどちらに「価値」を感じますか。
当然、今すぐにもらったほうが良いですよね。
もらえる金額が同じでも、「今」と「将来」という時間軸によって価値が変わる。この時間の要素こそが時間割引を理解する上で重要なポイントです。
100万円を1年後より今もらえたほうが良い。それでは2年後にもらえるとしたらどうでしょう。それなら2年後より1年以内にもらえるほうが価値を感じることでしょう。
今もらえるほうが価値がある。これの裏を返せば、将来もらえる際の価値が低いということです。
このように将来得られる100万円(価値)を、現在得られる価値から評価すると、将来もらえる価値は現在の価値より低くなります。
つまり「将来もらえる価値」は「現在の価値より割り引かれる」、これが「時間割引」です。
時間割引率
せっかく今100万円をもらえるのに、それを将来に先送りするとそれは100万円以下の価値に感じられます。どのぐらい価値が下がるかは個人個人によって違います。
ここでは仮に、1年後にもらえる100万円の価値が現在と比べて10%下がると仮定します。
すると1年後にもらえる100万円の価値は、90万円相当の価値に感じられる、ということになります。
更にそこから1年経過すると、また10%割り引かれ81万円相当の価値に感じられるようになってしまいます。
時間軸 | (時間割引率10%) | 今の自分が感じる価値 |
---|---|---|
現在の100万円 | イコール | 1,000,000円 |
1年後の100万円 | 100万x0.9= | 900,000円 |
2年後の100万円 | 100万x0.9x0.9= | 810,000円 |
3年後の100万円 | 100万x0.9x0.9x0.9= | 729,000円 |
4年後の100万円 | 100万x0.9x0.9x0.9x0.9= | 656,100円 |
このように、「将来の価値を現在の価値に評価するときに割り引かれる率を「時間割引率」といいます。
ここで注意!将来の価値がどれぐらいの割合で低くなるかは、その個人個人の価値観や環境
によって変わってきます。これは非常に重要なポイントなので後ほど解説します。
時間割引を人生にあてはめる
ここからは時間割引の概念をもう少し私たちの生活に当てはめて考えましょう。
もし1年後に100万円もらうのと、2年後に130万円もらうのだったら、どちらを選択しますか。
時間軸 | 時間割引率 10% | 今の自分が感じる価値 |
---|---|---|
1年後の100万円 | 100万x0.9= | 900,000円 相当 |
2年後の130万円 | 130万x0.9x0.9= | 1,053,000円 相当 |
時間割引率が一定の10%なら、現在の自分が思う価値は1年後には90万円相当であっても2年後は105万3千円相当の価値に感じられます。現在の自分の感覚からみても2年後にもらえる価値が時間割引をはねのけるため、130万円をもらう「計画」を容易に遂行し「目標達成」できます。
さて、この記事では時間割引率を分かりやすく説明するために仮に10%としてきましたが、さきほど触れたように、将来の価値がどれぐらいの割合で低くなるかは、そのひと個人個人の価値観や環境によって変わってきます。そしてこれが計画実行や目標達成に大きく影響してきます。
ここに時間割引率の数字が低い人と高い人がいます。
割引率が低い10%の人が1年後にもらえる価値に感じるのは90万円相当。しかし割引率が更に高い20%の人が1年後にもらえる価値に感じるのは80万円相当となってしまいます。
それでは、2年後に130万円もらえるとしたらどうでしょう。割引率が低い人は2年後の価値を105万3千円相当に感じられます。
しかし割引率が高いと2年後の価値は83万2千円相当にしか感じられません。
そうなると、将来大きな報酬を得るよりも今の報酬を優先してしまっても不思議ではありません。
これでは将来の計画や自己投資が成り立ちませんね。
時間割引率を下げよう
ところでこの割引率が高い人とは、一体どういう人でしょうか。
あえて一言で言えば、余裕が無い人、余裕のない状況にいる人です。
金欠の人なら2年後の130万円より今の100万円を選ばざる得ません。
ダイエットをしたくても今もし空腹で、目の前にケーキがあれば本能に抗うのは困難です。
余裕が無い人ほど「将来の報酬を待てない」という状況が発生します。
この場合、時間割引率は一定ではなく今現在に近いほど割引率は高くなります。
これを双曲割引といいます。
割引率が一定でなければ当然最初に立てた計画に見通しが立ちやすく、計画が頓挫する可能
性が高くなります。
目標を達成し将来の大きな報酬を得る、そして人生を成功に導くコツは
・時間割引率を低くする
・直近の時間割引率が高くなってしまうのを回避する
ことになります。
そのためにまずこの時間割引の概念、特にこの基礎的な部分を常に意識することが重要になります。
計画を立てても上手くいかない、中々目標を達成できない。そんな人には是非、行動経済学の時間割引を知り、対策を講じる所から始めましょう!
また将来の報酬とは想像のものです。報酬や目標達成時の具体的なイメージが沸きづらければ、そこに価値を見出すことは難しくなります。
どんなに素晴らしい将来の大きな目標でも具体的な想像ができたり似た経験が無ければ、必然的に将来の報酬の価値が下がるので、今すぐ手に入る小さな報酬に手を出してしまいます。