朝起きたら、家族や同僚に挨拶するを前に携帯をチェックしますか?
残念です。それは依存症状です。

食事中、携帯電話をテーブルに置かないと落ち着かないですか?
残念です。それは中毒症状です。

携帯からプッシュ通知音やバイブがポケットやポーチで鳴ったら、それをすぐにでも見ないと落ち着きませんか?
状況にもよりますが、これも言うまでもありませんね(「落ち着かない」というのがポイント)。

ソーシャルメディアには中毒性が意図的に設計されている

facebookをはじめ、twitter、InstagramといったSNS・ソーシャルメディアに依存してしまう人はとても多いです。それもそのはずで、事実こうしたソーシャルメディア自体が意図的にユーザー・人間がサービスに依存するように設計されています。

何故、意図的に中毒性があるように設計されているのか?

その答えはシンプルで、ソーシャルメディアを制作した人達はそのサービスを、より多くの人に、より多くの時間使ってもらいたいからです。中毒レベルまでそのサービスに依存させ、それにより利益をあげ、サービスや事業を持続させられるからです。

アルコール依存症。ギャンブル依存症。ニコチン中毒。悪い習慣と頭では分かっていても、一度それに依存してしまうとそこから抜け出すのは困難です。そういった人間のメカニズムを上手く盛り込み、人々に利用されているのが昨今ユーザー数が桁違いに多くアクティブ率の高いSNSです。

(参照:Why We’re All Addicted to Texts, Twitter and Google / Psychology Today)

ドーパミンは行動を支配し、習慣は人生を支配する

早起きする。毎日15分読書する。毎日運動をする。

何か新しいことをはじめようと思い立ち、それが3坊主で終わる。それは新しい習慣を自分自身にインストールしきれなかいために起こります。新しい習慣を手に入れるときの最大の障壁は古い習慣です。9時間睡眠をしていた人がいきなり6時間睡眠に切り替えることは、身体に染み付いた習慣がそれを拒むのです。

ソーシャルメディアはどうでしょうか。

SNSの制作者たちは、自分たちのサービスを継続させるための、ユーザーの新たなる習慣を作り出すために努力を怠らず、知恵と技術をサービスにつぎこんできました。

新たな習慣を作り出しユーザーの行動を変えるためにまず、ユーザーに感覚的な刺激を与えます。例えばほんの一例として、Instagramの美しい写真、twitterの面白い話題、facebookを通して垣間見れる他人のプライベート。これらを見たくなる刺激で、まずユーザーに行動を促します。

そして一度サービスに触れたユーザーに次々と刺激を与えていきます。自分の投稿に付くいいねの数。周りの反応・コメント。それらが通知されるたびに、脳内では快楽物質として知られるドーパミンが分泌されるのです。そしてもちろん、ソーシャルメディアを制作する側はこれらが文字通り、「脳内麻薬」と呼ばれることをよく熟知しています。

ドーパミンが分泌されるための仕掛けはアプリの細部にまでいたります。

細部とはどのぐらいか。

 

例えば、twitterでは画面を開いた数秒後に通知がつきます。これはギャンブルの時の心理と一緒で、「いいねされたかな」「リツイートされたかな」と期待しながらtwitterの画面を開き、そして上の動画のように通知が実際に来ているとドーパミンが分泌され病み付きになる、というのを狙った設計といわれています。
(参照:Simon Sinek: https://www.youtube.com/watch?v=3ev7GXzFTPg
もちろんこんなのは、ほんの一部。氷山の一角です。

ドーパミンは脳内麻薬。ユーザーはこの刺激をまた欲しくなり、サービスに深くのめりこんでいき、やがてサービスを利用することが習慣化するのです。

ソーシャルメディア然り、アプリ然り。制作者たちはこういった心理学や脳科学的な要素を取り入れ、サービスを開発・アップグレードしていきます。ユーザーに外的な刺激を与えそれをきっかけとし、サービス内で刺激を与え、時に承認欲求をみたしてあげます。

ウェブを中心としたインターネットサービスは他の産業と比べその歴史は浅いものの、こうした科学的要素は2000年代からシリコンバレーを中心に取り入れられてきました。ビジネスにおけるフレームワークとして、フックモデルという名ですでに体系化されています(もちろん日々進化しています)。

制作者は悪魔ではない、そして私も・・・

意図的に作り出された中毒だ依存だといった単語がこうも並ぶと、まるでサービスの制作者たちが悪魔かサイコパスかと勘違いしそうですが、あくまでこういった症状は彼らの目指したミッションの過程で産まれた副産物でしかないはずです。世界をより良くしようとし、自分たちのサービスがそれを達成できるものだと信じ、だからサービスを多くの人に多くの時間使ってもらいたい。その結果でしかないのです。

私も仕事の上で、企画やサービスを世に送り出す際にフックモデルを意識します。といっても私はシリコンバレーの方々のように優秀ではないので、フレームワークを中々上手く機能させられませんがね!

結局大事なのは、倫理観なのでしょう。これがなければ本当に悪魔の所業です。

私のSNS中毒対策

ソーシャルメディア依存症の対策に決定的な万人向けの処方箋はきっとありません。その人ごとに、環境ごとに、折り合いをつけていくしかないでしょう。

まずは、なぜソーシャルメディアに依存しすぎるのがよくないか自分の中で理解・納得し、そして日常の中でのソーシャルメディアとの接点や頻度を洗い出し、どの程度SNSなどと距離をおきたいかをまとめ、対策を実行にうつしていきます。

ちなみに私のオススメは、

・就寝前、歯を磨く前に携帯を機内モードにする

・起床後、着替えたら機内モードをオフにする

・腕時計をする

です。機内モードを要所要所で使っています。寝るときと起きたときという最も尊い時間を携帯に取られなくなっただけでも捗りますよ。ついでに、電池の持ちもよくなります。

腕時計は、時間を確認するのに携帯を取り出すとつい新しい通知がないかなど気をとられるからです。