一昔前、自身の作品を発表したり告知活動をする場は、自作ホームページが多勢を占めていた時代がありました。時は変わり現在、情報発信ツールとして有能なSNSが多数あり(そして得てして利用者も多い)、ポートフォリオサイトも簡易的に作れるようになりました。

そんな今、同人など創作活動をする作家さんが自前でホームページ=webサイトを持つ意味や必要性はあるのでしょうか。わたくしは、「webサイトは必要である・有用である」という仮説のもと、自身でこのサイトを構築し立ち上げました。

わたくしは現在、本業と地方創生の副業の合間を縫って、30分程度の自主制作アニメ『ヒカリアレ』の作業を一人で進めています。限られた時間の中では本来、アニメを完成させることこそが何よりの最優先事項です。それにも関わらず、何故いま貴重な時間を使ってこのwebサイトを立ち上げたのか。そこには主に3つの理由、①創作活動におけるゴール設計と分析、改善活動、②プロモーション、③学習、がありました。これら3つの理由はわたくしにとってwebサイト作りを始める大いなるモチベーションになりました。

1.創作活動におけるゴール設計と分析、そして改善

ところで世の中の企業やブランドはホームページをどのような目的で活用しているのでしょうか。例えばそれは、企業・ブランドの認知度アップ、ブランディング、イベントでの集客、販売(EC)、販売促進、ファンとのエンゲージメント、などです。

目的によってサイトの作りや見せ方は変わりますが、さて、これら上述の目的を創作活動に置き換えた際に共通するものはございませんでしょうか。

かなり該当しますよね。

わたくしも皆様と同じように、より多くの方に自分の作品を見て頂きたい・考えに共感して頂きたい、と考えています(目的)。

Webサイトは目的に沿った設計と見せ方(即ちデザイン)ができるのが強みです。差別化に有効です。もし思うような反応が得られなかった場合でも、google analyticsgoogle consoleをはじめとした分析ツールを駆使し、何が課題(ないしボトルネック)なのか検証し、改善行動がとれます。

いわゆるPDCA(Plan→Do→Check→Action)が回せるということです。

そしてこの検証と改善で得た知見は、創作活動に良い示唆と意味をもたらすことでしょう。

わたくしの場合、現在トップページには自主制作アニメの可能性を軸にコピーを作り投げかけつつ、このコンセプトを下にサイトを設計しています。もしも検証と改善を繰り返しても、望む反応が得られないようであれば当然、この辺の方向性を軌道修正をしなければいけません。

またこのサイトの一例を出すと、英語のページを作成し、海外に対するPRを研究するPDCAを回している最中です。仮説ができたなら最小限の労力でいいから兎に角トライ&エラーでやってみないとなにもわかりませんしね。

2.プロモーション、SNSからの誘導施策や検索エンジン対策

SNSとホームページ・webサイトにはお互い長所と短所があり、世の中の企業やブランドはそれを補完しあいながら、適材適所でこれらを活用しています。そしてwebページの良い所は、検索エンジンの上位を狙うことができる=新規見込み顧客の開拓ができる点です。

能動的に検索してきたネットユーザー様のニーズに、こちらが提供できる価値を含ませて応えることができれば、いわゆるWin-Winと呼ばれる状況を作れます。

また一定以上の流入が獲得できれば、イベント告知や販売促進などの比較的小さいPDCAをグルグル回せるようになります。そこからまた改善のヒントを得ることもできるでしょう。

創作活動のコンセプトを伝えるのは本体ホームページ、細かいニーズに応えるのはブログといったようにすみ分けをすると良いです。SNSはコミュニケーションや本体サイト、もしくは特設サイト、LPへの誘導などの機能を持たせます

また同人活動においてもプロモーションは必須概念です。もし2人の創作物のクオリティが同じ同人作家がいたとして、一方がプロモーションもしっかりやっていて他方が創作のみに力を入れていたとしたら、必然的に前者の方が人気を集めるでしょう。多くの人が集まればそれはモチベーションにも繋がるし、必然的に顧客からのリアクションも増えるので新たな経験値も得やすく、結果的に後々の創作活動にプラスになるはずです。

好む好まざるはあれど、創作のクオリティが追いついてなくても宣伝上手で人気がある方々が存在するのも事実ですし。

3.学習

人間、死ぬまで学習の機会があります。そしてwebサイトの運営はわたくしにとってよい学習の機会であるとも考えています。

webサイトの運営は上述のPDCAだったり、そもそもブランディングとは何ぞやを考える機会を与えてくれます。創作活動をするうえで役に立つはずです

わたくしは創作活動・同人活動以外のところでは、某企業にてデザインと広報の業務を中心にマーケティングや分析などを行っています。webに関してはディレクションはすれど実際の運営は他の方に任せています。一転、副業で携わっている地方創生のお仕事では、サイトの構築・運営も担っています。

新しい技術やフレームワークが次々出てくる昨今、それらを適宜に試せる機会が欲しいとは考えていました。最新の情報を字面で追っていてもやはり、手を動かして試さないと分からない部分が多々あります。それに自ら学習機会を設けないと、世の中の流れに取り残されそうな焦燥感もあります。

小手先のPR方法を取るより作品の質を高めるべき論

ホームページを作る暇があれば作品作りに慢心すべき論というものがあるかと思います。

この考えには全面的に同意します。作品(コンテンツ)の質が伴ってなかければ、仮に一時的な集客に成功しても短命に終わることでしょう。

ええ、わたくしのことです。

それでもこのサイトを作ったのは、前述の通り①創作活動におけるゴール設計と分析、改善活動、②プロモーション、③学習があったからです。

現在制作中のアニメの進捗も7割を超えたので、少し作業量を分散しました。もしホームページを設置すべきか否かをお悩みでしたら、是非ここに書かせていただいたことをご参照いただきたいです。

良い作品作りと、適切なPRの組み合わせが望ましいところですね。バランスが大事なのです。