同人活動を社会人になってから始めた初心者且つ無名です。そのため同人仲間もおらず、twitterのフォロワー数は現在120程度=告知力は無いに等しい。そもそも同人抜きにしても友達とかいないし・・・!
つまり、このような人間がコミティア(Comitia)などの同人誌即売会に出るということは即ち、売上は新規のお客様=通りすがりの方々に100%依存することになります。
そんなわたしが、巷で「売れない」、なんなら初参加時は「一冊も売れない」と言われているコミティアに、その上さらに売りづらいと言われるイラスト本の販売で初参加するとどうなったか。
※イラスト本は更に売れないという噂がある。
結論から申し上げると、初じめての回も2度目の参加時もそれぞれ10冊以上は売り上げました。
(いずれも20冊には届きませんでした)
告知力や知名度といった外的影響力がない素の状態でコミティアに参加しても、決して売れないわけではないです。
ご購入いただい皆様には本当に感謝しかございません!それ以上にお話ができて、とても嬉しいです。
今回は少ないわたしの経験から、特にこれからコミティアへの参加を迷っている方や、わたしと同じように知名度が少なめな方に向けて記事を書きます。
知名度のなさを販促力でカバーする
SNSでの告知力も期待できない、知名度もない、なんなら仲間も少ない。だから、コミティアに参加したいが心配、不安。
そういった新規のお客様にアピールするために、販売・売上対策として現場での販促力の活用をオススメします。これによって、1冊も売れないという悲劇を回避します。
それでは具体的な販促対策の話をする前に少々わたくしカタギリシュウセイの出品物・販売物に触れたいと思います。
アニメ背景美術集(つまりイラスト本)
仕様: A5横変形、24ページ(全ページフルカラー)
価格: ¥300/冊
Theニッチ・・・!この背景美術は現在制作中の自主制作アニメ『ヒカリアレ』から背景画のみをまとめたものです。明らかにコミティアのメインストリームではないジャンルですが、それでも販促の知識でなんとかします。
意味のあるPOP
基本にして究極。POPは新規のお客さんと出展者にとって唯一の接点です。従って、POPを用意するのは最低限必要。そしてPOPの内容もお客様の興味を引くもの+必要な情報で構成されます。
「必要な情報」を言い換えれば、「お客様が知りたい情報」となります。例えば、①本の内容、②価格です。知名度と告知力が高くない場合、サークル名であったり新刊か否かはお客様にとって「意味をなさない情報」となるので削ります。POPの情報量は必要最低限に絞って読みやすくしたいので、この辺りの情報はトーンをあえて落とします。
そこに加えたいのが「お客様の興味を引く」ための要素。それはキャッチコピーかもしれませんし、作者の制作物かもしれません。
ここで覚えておきたいのが展示会・即売会・イベントにおける2秒ルール。広い会場を行き交う人々が自分のブースに目線をくれるのは精々2秒と言われています。従ってこの2秒で興味喚起を起こさなければもうそれっきり・・・なのです。そのための最も効果的で瞬時に理解できる「お客様の興味を引く」ための要素を配置する必要があるのです。
わたしの場合のPOP。まず自主制作アニメを作っている個人サークルなのでiPadの動画を用意。それをPOPに組み込み、POP×動画一体型の販促物を作成しました。人は動くものに目線が誘導される性質があるため、有効であろうという仮説のもと実行しました。その動画の周りに①本の内容や②価格を配置しています(目線の導線を整えました)。
※画面は大きい方が当然訴求力が高いです。iPad mini程度では微妙というのが実感。
ここにキャッチコピーを追加します。わたしのケースだと「1人でアニメ、作っています」です。これで、おやっと興味を持ってくださる方がいれば、それがコミュニケーションの起点となります。「1人で作ってるんですか?」と驚きをもって聞かれたら、成功です。
(ちなみに自主制作アニメという言葉は、認知度が低いことと初見だとイメージが沸きづらいのでPOPとしては却下)
(参照:検索率が前年比23%減。『自主制作アニメ』というキーワードの弱さ / カタギリシュウセイ)
特殊ケースの実例ばかりで恐縮ですが、これは自分の創作物の強みや競合との差別化できるポイントを考えた末でのアウトプットです。なので、自信の強みや差別化できる部分を深堀していけば、どのブースも特色が出せるとは思いますので、参考にしていただければ幸いです。
ブースの導線、目線の位置
実際のビジネスの展示会や店舗設営では、最も目線を誘導しやすく、商品を手に取りやすいゴールデンゾーンを意識します。(商品はテーブルに置くにしても)POPは一般的には男性なら150cm前後、女性なら140cm前後(目の高さから30cm下まで程度)が見やすいゾーンの目安になります。そこに前段で触れたPOPを配置すると効果的になります。
いい感じのサークルさんはスタンドPOPなどの什器を使用している場合が多いのですが、それには理由があるわけです。もちろん、お隣のサークルさんのお邪魔にならない程度の配慮は必要です。
また、本を平置きするにしても、POPを机に直に置くにしても視覚的に見やすいように、角度をつけると良いです。
前述の通り通行人は2秒程度しかブースを見てくれないことを考えると、目線の高さや角度を整えることは非常に意味のある対策になります。
自宅でブースの仮設営をする
自分を含め同人作家の皆様は、前日まで(下手をすれば当日の出発直前まで)販売物の創作に追われていたりします。しかしできればイベント前に一度、自宅で仮のブース設営をすることをオススメします。これは、
- 忘れ物防止(!)
- 一番売りたいものが本当に一番分かりやすく陳列されているか
- 目線の位置は適切か
- POPの内容を改めてみて適切か
- ブースがごちゃごちゃしてて分かりにくくないか。情報過多ではないか。必要な情報は抜け落ちてないか。
といったことを確認でき、また何か上述のことに不具合があれば即座に修正できるからです。当日焦っても後の祭りですからね。創作物に力を入れるのは当然なのですが、できれば多くの方々に作品を手にとってもらいたいですし、そういう意味でもかなり重要な工程です。
売上を伸ばすには
こういった地味なことをやってきて、知名度も無い・告知力も無い・知り合いもいない・影響力も無いわたしでも、コミティア2回目の参加時はアニメ背景美術集を確か15、6冊+その他数点の販売となりました。同人誌即売会において販促に力を入れることは、販売数を伸ばすに当たって即効性のある有効な手段です(ちなみに同じような状況で地方の同人誌即売会でも12冊ほど売れました)。
さてしかし、ここからさらに販売数を伸ばすとしたらどうすべきでしょうか。
やはり現場の販促力だけでやって新規のお客様を呼び続けるのは正直大変なので、リピーターを増やす他ないのかも知れません。これには①継続的な即売会への参加、②継続的な情報発信、③個人のスキルアップが必要なのでしょう。
わたしの場合はアニメの美術集ではなく、アニメ本編の完成を急ぐべきなのでしょう、明らかに・・・!
コミティアへの初参加を迷っている方へ
なにやらビジネスチックなノウハウや売上だ販売冊数だといった単語が乱舞する記事になってしまい恐縮です。ただこれは、自身の作品に販促の力を加えればあなたの作品を潜在的に読みたい人達との接点になりえるのでして、そこがコミティアの醍醐味だし同人活動の楽しみだと思うのです。作品に力を入れるように、その作品を読んで頂くことにも試行を重ねる。間違ってはいないはずです。
初めて自分の作品を手にとっていただき、お話をさせていただき、お金を頂いた際の感動を未だに忘れられません。金銭のやりとりというハードルを越えてでも自分の作品を手にしていただけることを想い、手が震えた記憶があります。
同人誌即売会の初心者の自分が言うのもなんですが、版権の力を借りないコミティアは本当に良いものです。
もし初めて出展者側として参加される方にとってこの記事が参考になり、少しでも背中を押せたら幸いです。
コミティアでお待ちしています!
One Thought on “コミティアは売れないは本当?初参加時と2度目の売上対策・実践結果”